「飛鳥」のこと(その1)

8月27(土)28(日) 牧阿佐美バレエ団60周年記念公演「飛鳥」が新国立オペラ劇場にて上演された

 

ゲストダンサーのルンキナとパートナーのルスランは、日本に到着した翌14日から公演までのわずか二週間足らずの間に驚異的なスピードで「飛鳥」全幕の振り付けを覚え、その後団員と共にリハーサルを行なった

 

私は日々のリハーサルでルンキナのあの得も言われぬノスタルジックな瞳で情感を表現する様と、音楽の化身ともいえる感動的な動きを毎日目の当たりに見る幸せに預かることが出来た

お陰で日々の疲れとストレスも消えていくようだった

 

ルスランは前回の公演でゲスト出演した「白鳥の湖」のような純然たる古典も似合ってはいたが、私の好みで言わせてもらうと今回のような創作バレエで形に制限されずに表現して踊る方が彼自身の個性と魅力が発揮されたように思える

 

一幕では飛鳥時代の民族衣装を身につけての踊りが、二幕になると男性陣は上半身裸にパンツ、女性陣は”霧の精”のコールド以外は主役を始め皆”竜の化身”という設定で全身タイツでの踊りとなる

 

女性ダンサーは頭につけるティアラと薄物のマント以外装飾の無いシンプルな全身タイツなので、マントを外しての踊りでは一糸まとわぬ裸同然ともいえる姿で踊らねばならない

 

ルンキナはヨーロッパ人独特の”バレエの為に生まれてきた”ような体型で全身タイツもなんのそのだが、我々日本人は全身タイツとなると一抹の不安感を覚えてしまうのはダンサーもスタッフも同じかと思えた

 

でも今公演でのバレエ団の女性達はそのような心配は必要無かったと思わせるほどバレエダンサーとして完成された身体の動きと魅力を発揮して客席を沸かせてくれたのだった

 

勿論男性陣だって負けてはいなかった

彼等は新国立オペラ劇場の大きな空間をものともせずに踊り、躍動し、特に菊池は龍神役としての存在感を余すところなく発揮しながら彼自身の魅力をも表現していた <写真>ACT1-左1場・右2場

 

 

牧阿佐美先生、ダンサーの皆様、スタッフの皆様、お疲れ様でした!

 

*スヴェトラーナ・ルンキナ女史 ルスラン・スクヴォルツォフ氏は文章作成の都合により敬称を省略させていただきました