インプラント(その2)

インプラント手術の続きです。

 

くるみ割り人形「花のワルツ」の音楽が流れる注射器による一回目の麻酔が終了して、まずはホッと一息。

 

・・・骨を削るのだから一回だけの麻酔で奥深く針を刺して大量の麻酔液を注入するのには無理があるだろうから、きっと二回に分けて行うのかも・・・

 

と、勝手に予想していたのですが、それは大きな間違いでした。

 

二回目の麻酔注入が終了して数分後、次はいよいよ手術に取り掛かるのかと思いきや、ふと見上げると先生の手にはまだ注射器が握られていたのです。

 

・・?・・と思う間もなく椅子が倒れ

「はい、口を大きく開けて」と言われ

 

既に麻酔が効いて何も感じなくなっている私の歯茎に注射針が奥深くにブスッ、隣りに移ってブスッ、又隣りに移って・・・とその時、、私の心臓が

ドキドキと脈打ってきたのです。

 

私は自身の不安感からくる動悸なのか、別の要因から生じた動悸なのかは区別がつかないながらも鼻息を荒く深呼吸を試みました。(口の中には注射器があるので)

 

すると即座に先生は手を休めて、「ドキドキしますか?」「ハイ」「では、少し休みましょう」

・・・何で解ったのかしら?きっと私だけではなく皆こうなるんだわ・・・

 

数分もしない内に胸の動悸は治まったので麻酔の続きを行い、三回もの長きにわたる麻酔注射はすべて終了して私の左下顎は完全に麻痺状態となったのです。

 

どっと心的疲労を感じているところへ看護師さんが表れて、「手術室にご案内しますので」

「え~~ッ、手術室?」またまたドキドキ・・・             (続きはこの次に)